平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
BASICは、2021年1月より村上製麩(株)に事業移管いたしました。
村上製麩(株)が製造・運営、(株)バリバスにて販売を代行しております。
 

小稿では擬音語(オノマトペ)だらけになることを始めにご容赦いただきたい。

バラケエサは、パサパサしているものである。ボソボソ、あるいはガサガサしているタッチがバラケエサとしての本領を発揮する。サラサラとあるいはチリチリとバラケていく様態にこそへら鮒は就餌意欲をかきたてられる。
が、このパサパサ感こそに大きな乗り越えなくてはならない問題があった。
「ハリにうまく丸めて付けることができない」という、誰もが分かっていながら、誰も声をあげてこなかったのはなぜなのだろうか。
パサパサのエサをギュウギュウと無理やり押し付け、辺り一面こぼれたエサだらけで薄汚く、それでもまだギュウギュウ押し付けながらエサ付けをしてきた長い年月を、なぜ、不問にしてきたのだろうか。
元々発明というのは日常生活のなかで不便だと感じたモノに改良を加えることから生まれるという。
パサパサの粉をうまく丸めてハリ付けする。当然練ってネバリを出したり、ネバリが出る品種を追い足すことでパサパサ感をなくして丸めやすくするのではなく、そのままの状態で丸められないか、ボロボロこぼして汚くすることなくハリ付けできないか。
その不便さを認識し究明して産まれたのが、パサパサなのにすんなりハリ付けを可能にしたのが「BASIC セットM」なのだ。
それにしても、なぜ今まで誰もこのようなエサを開発しようとしなかったのだろうか?

つつじ池は満席状態だった。
揖斐川・長良川・木曽川という日本を代表する巨大河川、岐阜三川が堆積して作り上げた中州にこの有名な自然釣り池はある。
水深があること、大型へらが放流されていること、オーナー夫妻のきさくで献身的な人柄、なにより釣り料が安価であることに、地元のみならず遠方から訪れる釣り人が後を絶たないのも頷ける。
事前に予約して何とか確保できた二号桟橋の中ほど一号桟橋向きに釣り座を構える。前後左右を見渡しても、空席はなくそのほとんどが例会組のようだ。

人が多く入れば魚も逃げ場がなくなる上、例会となれば皆必死でえさを打つから、どのような池でも食い渋りとなるのは必定なのだ。
取材には逆にいい状況だ。この過酷な状況こそ、新えさ「セットM」の真髄を確かめられるはず。
さあ、土屋の仕掛のセッティングから披瀝していこう。

竿:      8尺
タナ・釣り方: ウキから第一オモリまで1mのウドンセット釣り
道糸:     見える道糸エステル 0.8号
ハリス:    プロバージョンV 0.5号(上 8cm/下 35cm)
ハリ:     上 グランキープ 7号/下 ダンゴ鈎 3号
ウキ:     杉山作3番 パイプトップ

道糸の「見える道糸エステル」の利点を質問してみた。
「まず視認性に優れていることは言うに及ばず、シャキッとしていること、ナジミがいいこと、そして伸びないことでしょうね」と、良いこと尽くめの答えが返ってきた。

へらの道糸は難しい。
伸びてはいけないが縮んでもいけない。
ナイロンは柔らかいものだが、人工的に硬くすると瞬発衝撃力に弱くなる。
重くすると沈みはいいが、ウキに負担がかかる。
・・・などなど、矛盾点の総合デパートなのである。
人の知恵は無尽蔵だから何年後かにはもっと優れた「ライン」が生まれることだろう。
が、今は「見える道糸エステル」が群を一歩飛び出しているという。

続いて、ハリのことも。
「上バリに使うグランキープは、水中でのダンゴの抱き込みに優っているためですが、下バリをダンゴ鉤にするのはそのハリの比重でウドンを安定させたいからなんです。だから、逆に軽いハリが良いだろという時はオカメ鉤を食わせ用に使い分けます」

ハリは基本的な形状でいえば「伊勢尼型」と「関スレ型」の二通りしかない。色々とひねくりまわして形を変えたところで支点・力点・作用点の力のモーメントを無視できないから、形状は上記二型を大きく逸脱しない、いや、できないのである。

たった二通り!
そう、間口は狭く、でも奥行きは非常に深い、まるで京屋風うなぎの寝床のようなものなのである。

そして、肝心かなめのバラケエサは。
*セットM:  2カップ
* 水:    1カップ
_______________ 以上であった。


 

えさ袋裏面の解説通り、セットMを2カップに水1カップでガサガサとかき混ぜただけでバラケエサが完成してしまった。

「バラケMと水の比率2対1を保ちながら、私はもう少し最低分量が欲しいので4カップに水2カップ分始めに用意してそれを基エサとします」

下段ボウルに基えさを、その蓋の上に一部取り出して二段ボウルで準備を進める。

クワセエサは「レンジタピ」で、もちろん家で作りウドン棒状にしたものを持参して現場で指でちぎりながら使用する。
バラケエサが単品なうえ、水との比率が2対1と非常に簡単なだけにえさ解説欄はあっさり通り過ぎてしまった。
(本当にセットM単品でバラケエサとしての機能が発揮できるのだろうか。何よりもハリ付けしやすいタッチなのだろうか)
出来上がったえさをひとつまみさわってみた。
感じがいい。バラケエサなのだからボソッとしているが、不器用な筆者でも簡単に丸めることができる。

「いいでしょう!軽く丸めることができるし、水中では必ずバラケますから」と、言いながら土屋は釣りを開始。
えさ打ちを始めてすぐにサワリは出た。サワリというよりはへらのアオリと置き換えたほうが正しいだろうか。型のいいへらがすぐに水面直下に集まってきて、オモリより上方の道糸に触れるのだった。
土屋は先にえさを丸めておくようなことはしない。
仕掛を掴んでから、左手でえさを一個分とり両手でハリ付けする。その都度、毎回だ。
えさを打ち込んでウキを見ている間の左手は、絶えずえさを掘り起こしている。空気を入れサラサラ感を保つためで、ボウルの隅に片寄せるようなことはしない。
次のえさを何個か丸めておくようなこともしない。必ず仕掛を掴んでからえさをひとつまみ。

「ウキを見ながら(アタリを待ちながら)えさを丸めていると、ついつい練ってしまいがちですよね」

だから、リフレッシュさせたボウルのえさを、その都度一回分のみハリ付けするのだという。
従来のボソボソのバラケえさでは、練ってハリにギュッと押し付けないかぎりハリ付けは不可能だった。
だから、前もって次のえさを用意しておかなければ時間がかかってしかたなかった。
するとどうしても練りが必要以上に入ってしまいがちになる。
その点、セットMは摘んでサッとハリ付けできる。
簡単にハリ付けできるうえ、狙いのタナまでは自在に持っていけるし、バラケ性は群を抜いている。
まだある。
それは、バラケエサには必ず配合されている粗目の麩片が水面にポッカリ浮いてこない、ということだ。
セットMの三大特性
① 単品使用が可能で、ハリ付けが簡単
② 狙いのタナまで自在にもたせることが可能
③ バラケ性抜群でも粗い麩が浮きあがってこない。

「へらが下を向かないですね」

混雑しているうえ、へらが大きいゆえに食い渋り感がかなりある。えさナジミを示さないのはへらがアオッているからで、えさが取れているのではない。

「少し比重をつけて、えさを入れてみたいと思います」

土屋はここではじめて、「小粒ペレット」をえさの一部に振りかけてみた。
今、えさ落目盛はウドンを付けて三節出し。

この三節でバラケエサの重みを受け止めればいい。またそのようなえさの大きさ、圧のかけ方をするといい。
ボソッとしているえさをそのボソのまま丸める。チモトのみの圧で三節なじませる。が、へらのアオリ、眼に見えぬ水流・水圧でそうそううまくいくものではない。
小粒ペレットの効果はてきめんで、ウキが入りだした。一旦入るとワンポーズおいて上がってくる。
しばらくこのパターン化の作業を繰り返すと、ひったくるようなアタリで第一号が釣れてきた。
ヨタ化してない野性味あふれる良型だ。

だが、ひったくるようなアタリが出るということは、混雑によるフィッシングプレッシャーがかかっている証拠であり、その後が続かない。
ひったくるようなアタリが出たり、竿を離した瞬間アタッたりするのは魚が完全におびえてるからで、食いのいいときはえさの溶け具合とアタリのタイミングにリズムがあり、またそのアタリも小さく小気味いいものだ。
その後は案の定、竿が曲がるのは散発的となり、途中は深宙のタナもやってみたが圧倒する釣果が得られずまま昼弁当にした。

弁当を食いながら考えたのだろうか。
「セットM」と「しめかっつけ」を取り出しえさ作りを始めた。

基えさは今まで通りセットM単品で作り置き、その一部を別ボウルにとってそこにしめかっつけを振りかけ手水で調整していく。
土屋は目分量でやるがそれを数量化すると、
*セットM:    2カップ
* 水:     1.5カップ
*しめかっつけ: 1カップ
という配合比率になるだろう。

「相当食い渋りがきついですので、このような時には比重の軽いえさ、柔らかいえさが効果的と考えたのですが、軽くて柔らかいえさでもタナまで持つようにしめかっつけのネバリを借りました」

的(まと)は射(い)るものだ。
軽くて、柔らかくて、タナまで入るバラケえさこそ食い渋り時には有効との考えはまさに的を射ている。

「セットMは単品で十分なのですが、刻々と変わるジアイ、水の中の複雑怪奇な流動、へら鮒の機嫌をそこねないよう痒いところにも手が届かせようとすると、やっぱり他の品種の助けを借りないとならないと思います」

「そう、へら鮒がそんな簡単に単純に釣れるものならば、とっくの昔に飽きられているゲームだろうしね」

「でも結論めくようですが、このセットMには何種類もの配合をしないでいただきたいのです。あくまで単品使用を中軸に考え、少し比重をつける、あるいは軽くする、もう少し持たせたいといったときにのみ何か一つか二つ混ぜることがベターだと思います」

最初から三種類も四種類も配合すると、結局どのえさが有効で、どのえさが邪魔をしているのかがわかりにくくなる。
そういった意味合いを噛みしめながら、しめかっつけを追い足しして軽くし、手水を多めにすることで柔らかくも持たせるバラケエサにした。
するとどうだ。
昼過ぎの周りはほとんど竿が立たない、なかだるみ状況のなかにあって、土屋のウキだけが小気味いいリズムを刻み始めた。

バラケエサは確実に入っていく。ウキトップが水面スレスレで一旦止まる、持ちこたえる。
トップが上がりかけるや否やスパッと入る。
毎回では決してない。当然カラもある。
しかし、必ずや「次に」期待をもたせるリズムが生まれ続いている。

「うゎっ、いいアタリ!」

午後からは、幾度となくこの歓喜の声を聞いたものだった。

<配合参考例>
「少し比重を加えながら、持たせたい時」
*セットM:  2カップ
*ベーシック: 1カップ
* 水:    1.5カップ

「比重は変えずやや持たせたい時」
*セットM:    2カップ
*オールマイティ: 1カップ
* 水:      1.5カップ

「軽くして持たせたい時」
*セットM:   2カップ
*しめかっつけ: 1カップ
* 水:     1.5カップ

注:麩と水の分量はお好みの硬さで少しづづ加減してください。


[土屋健二プロフィール]
岐阜県大垣市在住。Vステージ所属。
BASIC、VARIVAS、GRANフィールドテスター。

Pagetop